2004年11月21日
魅惑のサークル仲間[ ]
11/20付け日本経済新聞 NIKKEIプラス1より
仕事の後や休日に、スポーツや芸術など同じ趣味を持つ仲間たちと時間を共有する社会人サークル。会社と自宅とを往復するだけになりがちな一人暮らしの女性にとって、会社がらみでも家族でもない第三の人間関係を暖める絶好の機会だ。ただしサークルは未知の人の集合体でもある。うまく楽しむためには少しだけノウハウが必要だ。
東京都内で一人暮らしをする女性会社員Kさん(33)は昨年、音楽サークルに入会した。すると毎晩のようにメンバーから「飲みに行こう」コールがかかるようになってしまった。時には家にまで誘いに来られたこともあったという。
Kさんは閉口し、たった一ヶ月で退会した。「サークル仲間だから仲良くといっても限度がある。自宅も簡単に教えてしまったが、相手が悪用したらと思うとぞっとする」と話す。
では、サークルとうまく付き合い、活動を乗ずに楽しむにはどうしたらいいのだろうか。ノウハウを、ベテランのサークル主催者や体験者に聞いてみた。
国際交流サークルなどを三十以上立ち上げ、テレビ番組への出演で「ハオロンさん」として知られる通訳会社経営の西尾浩之さんは、「参加目的で仲間との付き合い方は変わる。スポーツや文化など活動そのものに専念したいのか、男女の出会いを求めるのか、大勢での交流を楽しみたいのか考えをはっきりさせ、目的に合ったサークルを探すことで、トラブルの大半は防ぐことができる」と話す。
サークル活動に寄せられる不満や苦情のほとんどは、「こんなはずではなかった」と言うもの。前出のKさんも、「音楽を純粋に楽しみたかったのに飲み会ばかり。こんなはずでは」と話していた。
当然のことながら自分に合わない組織を選び、入退会で神経をすり減らすより、入会前にサークルの目的や活動内容、メンバーの顔ぶれ、雰囲気などの情報を集めておく方がよほどいい。サークルに会則がある場合、迷惑行為に対する警告や罰則などのルールがきちんとあるかみておこう。主催者の人物像が分かれば、より安心感が増す。「事前見学の仕組みがあれば参加してみる、ホームページがあるなら読み込むなどの方法で、情報を集める」(ハオロンさん)
しっかりしたサークルの中には、入団前にメンバーの人間性まで見てもらおうと考え、態勢を整えているところがある。その一つがアマチュアオーケストラのサークル、新日本交響楽団。ここでは一ヶ月の体験入団制度を取り入れている。団長の稲葉昌司さんは、「数時間の見学では見えないことも、一ヶ月間、団員と同じように活動すれば、技術レベルから人間性までお互いに確認し合うことができる」と説明する。四年ほど前にこの制度を採り入れてから、短期間で退団する人が目に見えて減った。
三年前、楽団のホームページを見て門をたたいたと言う女性会社員Aさん(30)も、体験入団で入団を決めた一人。「一ヶ月あったので、活動内容もメンバーの人柄もじっくり見ることができた。ここなら楽しくやれそうと安心した上で入団を決められた」と振り返る。
慎重に検討して入会しても人間関係のトラブルがゼロとは言い切れない。何らかのトラブルに巻き込まれそうになった場合は、早い段階でサークルの主催者に相談するのが最もいい方法のようだ。ハオロンさんは、「人を困らせるようなメンバーは、主宰者側にとっても迷惑な存在。良心的なサークルであれば、必ず首脳陣が助けてくれる。信頼できる同性の相談相手を早めに作るも手」と話す。
一人暮らしの女性は、相手が信頼できると確信するまでは、電話番号やメールアドレスを教えないのが基本。また、メンバーに知らせる連絡先は、個人情報を詳細に事前登録しないでも取得できる無料メールアドレスを使うといいようだ。(インフィニティ 石田美穂・則竹知子)
ネット経由の募集には注意を
インターネット上の掲示板の書き込みや、メールのやりとりから関係をスタートさせるサークルも増えている。しかしネット上と対面のコミュニケーションには違いがあり、注意が必要だ。
仲間探しや地域情報の交換の場をインターネット上に提供している「ご近所さんを探せ!」では、出会い系サイト関連の事件が多発するようになったのをきっかけに、事務局からのお願いとして自己防衛のポイントを紹介している。
そのポイントとは、次の三点だ(1)自分の情報を気軽に教えないこと (2)メール上でのコミュニケーションでは誤解が生じやすいと覚悟すること (3)メールのやりとりに慣れた相手でも、実際に初めて会うときは「知らない人と会う」と自覚し、油断しすぎないこと。
注意したいものですなぁ。自らもサークル運営の中枢に関わるものとして。。。