« 魅惑のサークル仲間 | メイン | 移転しました »

揺れに耐える“合わせ技”

2004年11月21日

揺れに耐える“合わせ技”
[ ]

11/21 日本経済新聞 SUNDAY NIKKEIαより

新潟県中越地震の負傷者は2771人(12日現在)。このうち約40%は家具の転倒や落下物が原因だった。身近に家具の転倒防止用品は数多く販売されているが、その効果のほどを東京消防庁がこのほど発表した実験結果などをもとに調べてみた。

ホームセンターの売り場などでみかけるゼリー状のマット式転倒防止用品。家具の下に敷き、地震の時にはぷるぷると震えて振動を吸収。転倒防止に効果を発揮する。ただ東京消防庁が実施した実験によると震度6強の揺れには耐えきれず、家具が転倒するとの結果が出た。

東京消防庁は、8月下旬から9月上旬にかけて家具を固定するL字型金具やチェーン式金具など11種類の転倒防止用品の性能を調査した。

清水建設技術研究所が持つ上下左右に揺れる振動台の上に壁や食器棚、布団のある部屋を模擬して実験した。1995年の阪神大震災で観測した地震波のパターンを模して震度5強、震度6弱、6強の三通りの揺れを再現。高さ180cm、幅90cm、奥行き41cmで重さが65kgの食器棚の動きを観察して性能を評価した。

実験によるとL字型金具など床や壁に固定するタイプはおおむね効果が大きく震度6強にも耐えるものが多かった。反面、家具の下に入れて使用するストッパー式、マット式の転倒防止用品はいずれも震度6強の揺れに耐えきれず棚が転倒した。

ただ使い方次第では効果は大きい。家具の上部を固定するH型のポール(突っ張り棒)と併用した場合、地震時にかぐが揺れる程度にとどまり、転倒を予防することができることが分かった。「家具の上部と下部に対策を施す。“合わせ技”が効果的」(同庁防災部)との結果が得られた。

転倒防止用品の普及はいまひとつ。同庁の都内2138世帯へのアンケートによると、家具転倒防止対策を実施してた世帯は28%で非常食は非常水の備蓄の51%の約半分だった。対策を取らない理由として、金具などを取り付けると壁や家具に傷が付くことがあげる人が多かった。

「身近なものでも十分効果があり、壁も家具も傷つけない方法がある」と話すのは帝塚山大学の北浦かほる教授。阪神大震災の際、家具の転倒を詳しく調査、京都大学の振動台を利用して倒れ具合を研究した専門家だ。手軽な方法として北浦教授が提唱するのはお菓子などの紙箱とかまぼこ板を使う方法。この二つを組み合わせることで十分効果を出すことができる。

かまぼこ板をかぐの底の手間に入れて家具を壁面に少し傾ける。家具と天井の間には紙箱を詰め込む。地震の際、家具の重心は壁側にずれているので転倒しても壁側に倒れる。

紙箱は天井と家具に面で接するので摩擦力が増して家具を固定する力が強まる。揺れを軽減するクッションの役割もあり「並の転倒防止用品よりも高い効果が得られる」(北浦教授)という。

固定する家具が増えると移動する際に面倒になりがちだ。これがおっくうで家具を固定しない人も多い。住宅メーカーの積水ハウスは、普段は家具を壁に固定しておくが移動時は簡単に固定部分を外すことができる器具を開発した。壁面と家具側に金具を取り付けて両方の金具をつなげるようにもう一つの金具を間に差し込む仕組み。家具を動かすときは、間に挟んだ金具をはずす。L型金具より転倒防止の効果が高いことも実験で確認している。

地震を想定し、家具を設置する場所にも注意を払う必要がある。出口をふさぐ場所に設置するのはもちろん避ける必要がある。また、寝室には重い家具や転倒しやすい家具を極力おかないようにすることが賢明だ。

またカーペットや畳、フローリング(板間)といった床の材質にも注意する必要があるという。「カーペットは畳や重量のある家具を長期間おくと沈み込んで地震の際に倒れやすくなる」(北浦教授)ためだ。場合によってはフローリングに比べて転倒する確率が2倍近くに高まるという。

東京で直下型地震が発生した場合、約65000人が家具の転倒や落下物により負傷するという推定を東京消防庁は出している。建物の耐震補強などと並び屋内でも、できることから対策をしていくことが地震時の被害軽減に欠かせない。(科学技術部 新井重徳)



転倒防止用品

L型金具やチェーン式金具など家具を固定するタイプの用品や、マット状、ストッパータイプの器具を家具の下に入れての転倒を予防するものがある。転倒防止が直接目的ではないが、揺れが起きると食器棚のガラス戸が開かないようにロックする器具や割れたガラスが飛び散るのを予防するフィルムなどの予防用品もある。

ただ、性能を評価する手法が器具やメーカーによってバラバラ。東京消防庁は家具の転倒・落下防止対策推進委員会を設置。来年3月にも性能評価などの結果をとりまとめ報告書を作成する。



家具転倒防止器具による家具の固定具合
 器具無しL型金具L型金具
(スライド式)
L型金具
(下向き取り付け)
プレートチェーンベルト
(下部固定)
ベルト
(上部固定)
ベルト
(上部固定・プラスチック製留め具)
ポールストッパーマットポール+マットポール+ストッパー
震度5強
震度6強
震度6強×××

◎:安定 ○:揺れる △:大きく揺れる ▲:移動 ×:転倒

流石に今の家でここまでの耐震対策を施すのは無理なんだけど、自分で家を建てようと思っているので、その際にはここまで考えて家具も揃えたいと思う所。

Posted by りじんぐ at 14:06

About

2004年11月21日 14:06に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「魅惑のサークル仲間」です。

次の投稿は「移転しました」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。

Powered by
Movable Type