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音楽メディアの売り上げ変遷

2010年01月21日

音楽メディアの売り上げ変遷

さて、前回、ざっとCDの直面している現状について触れてみましたが、今回は更に詳しく見ていくことにしましょう。

先ずは、CDを含めた音楽メディアの状況を確認しましょう。日本レコード協会の統計によると、
音楽メディアの売上枚数
sales_num.jpg

音楽メディアの売上金額
sales_money.jpg


こうやって見てみると、アナログ盤の栄枯盛衰、8cmシングルの栄枯盛衰と共に、1998年をピークとしたCD販売の減少を見て取ることが出来ます。
明らかに減ってますね。

ところで、日本のCDは高いなんて話は昔から聞くところです。
ITmedia ライフスタイル:日本のCD価格は安くなる?――法改正がもたらすエンドユーザー利益の真偽でも、CDが高い/安いという話に触れられています。その中で、2004年に日本レコード協会の依田巽会長は

わが国のレコードについては、価格の多様化、低価格化が進んでおり、昨年1月から11月までに日本レコード協会会員レコード会社が発売した邦楽アルバム4445タイトルの価格を分析しますと、2500円未満の価格のものが41.5%と最も多く、平均価格も2315円、税込みで2430円となっております。(中略)したがいまして、大体平均2500円未満の価格のものが41%の市場でシェアを持っておるということでございます。(中略)したがって、日本のレコードの価格は欧米諸国と比較して決して高くないと考えております
とのことで、決して高くないとの認識を示されています。
先の音楽メディアの売上金額と枚数を利用すると、1枚あたりの価格が算出できますので、見てみましょう。

音楽メディアの売上げ金額/売上げ枚数=1枚あたりの単価
sales_price.jpg

それぞれのメディアの初期・末期では、販売枚数が少なくなるため、一部の高価格帯/低価格帯のものに左右されてしまい、ブレが大きくなっていますが、それぞれのメディアの販売枚数が多い時期を見てみると、メディアの価格はそう変わることなく、殆ど同一水準を維持していることが分かります。
特に、8cmシングルとマキシシングルの価格比を見てみると、収録曲数はあまり変わらない(?)のに、便乗値上げされたのでは…と勘ぐることが出来るような、値上げが見て取れます。
それにしても、シングルは綺麗に一直線で価格が変わらなかったことがわかりますね。

尚、総務省の消費者物価指数中 コンパクトディスクの指数とは上記のデータは若干異なっています。
cpi_cd.jpg
消費者物価指数によると、CDの価格は上昇傾向の後、横ばいです。

いずれにしても、CDの価格は殆ど変わっていないという事でしょう。
長年価格が変わらないという事は、物価の優等生ということなのか、それとも高価格を維持し続けた結果なのか、それは分かりませんが、今のダウンロードで1曲300円なんて時代からすると、やっぱり高いという気もします。

ところで、当時、いきつけのCDショップの店長から、CDの制作費は 8cmシングル>マキシシングル で、『8cmシングル→マキシシングルの移行は体のいい値上げだよ』と聞かされたことを思い出しました。本当かどうかは知りませんが、確かにマキシのプレスはアルバムのプレスとなんら変わることが無くできるので、大量にプレスしているアルバムのラインに乗せることが簡単にできますね。

CDのプレス代については、先の記事の中にも

しかし、アナログLPと比べて、CDの場合、プレスのコストは非常に安価で、海外プレスで質を問わなければ1枚当たり数円程度からある。CDのレーベル面への印刷コストは、ピクチャー印刷であれば10円強かかるが、2色印刷なら数円程度だ(もちろんこれらは枚数に依存するが)。メディア代、プラスティックパッケージ代(10数円)などを含めても、数十円の前半で収まる程度だ。
とあるように、CDは殆どが人件費ということでしょう。

尚、この記事で問題視している「CD輸入規制」。こちらは2005年に実施されています。
これは、著作権法第113条第5項に基づくもので、「国外頒布目的商業用レコードの輸入を差し止めすること」を想定しているため、洋楽等は影響を受けていません。当時の物価の安い地域ではCDを安く販売し、その安いCDが輸入(船便or航空便)という送料をかけても、日本の価格よりも安く販売されてしまうという一物二価の状況。こういった状況を法整備でなんとか乗り切ろうとしていた日本の著作団体。CCCDもそうですが、今ある産業(利権)を保護しようとやっきになるあまり、将来のビジョンを欠いてしまっていたのではないかな、と。消費者の側を向いておらず、消費者が何を求めているのか、いかに求めているものを出していくのかを考えなかった業界だったのではないかな、と考えます。

さて、次回は、CDの販売を減らして行った原因について考えていきたいと思います。

Posted by りじんぐ at 19:56

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